イオンモール・不動産仲介に参入~今後、仲介業界はどう進むか~
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平成23年9月29日、今後不動産仲介業界に大きな変化の波を起こすに違いない、事業参入の発表が行われました。
イオンモール、不動産仲介に参入(NIKKEI住宅サーチの記事)
不動産仲介業界に身を置く方でなければ、もしかするとそれほどのインパクトは受けないのかもしれません。
しかし、私にとってこの参入は、‘イオングループの参入後に、不動産仲介の業界構造が変わった’ と数年先に言われることになるかもしれない、と考えるほどのインパクトを受けるものです。
不動産仲介業者の受け取る報酬である仲介手数料は、一般的には「法律によって守られている」とよく言われます。
実際に守られている訳ではないのですが、昭和45年に建設省(現:国土交通省)の告示第1552号により仲介手数料の上限規定が定められて以降、消費税の導入・税率の変更の際以外では40年以上、何の変更もないため、上限であるはずの手数料が、‘法律で決まった手数料’ という認識を持つ方が大半になっている、という現状があります。
実際には、仲介手数料をディスカウントする仲介業者も多く存在し、不動産業者が売主の物件を購入する際の手数料を無料としたり、一般個人売主の中古物件の購入の際には手数料を半額とする(一定条件があり)仲介業者が、ここ数年で増加しました。
しかし、上記のように仲介手数料をディスカウントする業者は、あくまで ‘大手仲介業者との差別化を図るための弱者の選択’ という要素が強く、弱者であるが故に、その認知度を上げることは非常に困難を極めます。
これが、NIKKEI住宅サーチの記事にあるように、天下のイオングループ・イオンモールが不動産仲介事業に参入し、お客様から受け取る仲介手数料の最大1%を独自の電子マネー「WAON(ワオン)」のポイントで還元する、という実質手数料ディスカウントに踏み切るということは、手数料ディスカウント業者のみならず、財閥系・電鉄系・銀行系…といった超大手の仲介業者にまで影響を与えることになるでしょう。
イオングループでは、すでに住宅ローン、住宅リフォームなどの住宅関連事業を行っています。
イオン銀行の住宅ローン などは、ここ1年くらいの間で、一般の仲介の現場でも ‘利用した’ という話をよく聞くようになっていました。
普段のお買い物はイオンのスーパー、住宅の購入・売却はイオンハウジング、住宅ローンはイオン銀行、そしてリフォームも…
ここまで住生活の全てをグループで網羅し、ポイント還元でお客様に実質的なディスカウント効果を提供されると… 利用者にとってのメリットは絶大で、同商圏で営業する街の小さな仲介業者では立ち入る隙もありません。
とはいえ、不動産仲介とは非常にネットワークと個人レベルのスキルが問われる業務。
イオングループといえども、そこで働く人間の質が高められなければ、そう簡単に事業を軌道にのせることはできないでしょう。
今後はコンサルティング的な要素を充実させ、お客様の多種多様なご要望にお応えするというスタイルに重点を置く仲介業者も増えてくるものと思いますが、その戦場こそが超大手仲介業者の最も得意とする部分。
そして、その部分にも、すでに新規参入の名乗りを上げている大手企業があります。
これから数年後、不動産仲介業界、特に仲介手数料は今後どのように変化していくのか?
この点を私は現在の金融機関の住宅ローンに似たような状況になるのではないか、と考えています。
今から十数年前、住宅ローンといえば「取りあえず住宅金融公庫」という状況であり、‘どこの金融機関の、どの金利タイプの商品を選ぶか’ などという発想を持つ方は殆どいませんでした。
それが、現状ではどの金融機関もさまざまな住宅ローン商品を提供し、常にキャンペーン・金利優遇等で他行との差別化を図っています。
金利競争の部分では、新規参入組のネット銀行、店舗を多く持たない信託銀行などが優位な状況にあり、コストが係る体質にあるため安易な金利競争で勝負できないメガバンクは、店舗網の充実やその他サービス内容の向上でお客様を取り込んでいます。
地銀、信用金庫等は、上記の金融機関が積極的に取り込まないリフォームローンや、投資物件用ローン、といったある程度融通を利かせた不動産関連ローンでお客様の取り込みを図っています。
上記の住宅ローンの例を、不動産仲介業界にざっくり当てはめると、
メガバンクに相当するのが既存の超大手仲介業者(財閥系、電鉄系、銀行系等)
地銀、信用金庫等に相当するのが、地場中小の仲介業者
ネット銀行に相当するのが、他業種からの不動産仲介新規参入組
というイメージではないかと思います。
不動産仲介業界は、群雄割拠の戦国時代へと突入。
今後、戦国の世を生き抜くためには、‘お客様の利益につながるサービスの提供’ に徹底することが求められ、利用者にとっては選択肢も広がり、喜ばしいことではないでしょうか。
だからこそ、より一層 ‘選ぶ側にも、これまで以上の勉強・情報収集が求められる’ 時代になるでしょう。
※過去の不動産仲介に関する関連コラムはこちら
株式会社リード
中石 輝
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このコラムの執筆専門家
- 中石 輝
- (神奈川県 / 不動産業)
- 株式会社リード 代表取締役
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