中古マンション価格 今後の推移予想
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ここ数ヶ月の間、新聞紙面等で「中古マンション価格が上昇」という記事をよく目にします。
不動産専門のデータバンクである東京カンテイが発表している「首都圏の70平方メートルあたりの中古マンション価格」を見ると、9月は前年比2.0%、10月は前年比−1.0%と落ち込んでいるものの、11月は前年比2.4%上昇と、数字上では価格復調の兆しがうかがわれるようにも見えます。
東京カンテイ プレスリリース/中古マンション価格(2009年12月21日)
しかし、この価格上昇の裏側には、あまり触れられていない中古マンション市況の現状があります。
復調の兆しがうかがわれる中古マンション市況について、私なりの今後の見通しをまとめてみます。
あまり表に出てこないデータ
不動産取引の現場で働く我々不動産仲介業者の間でも、「売れ筋物件に関しては、春先から相場価格が100万円は上がった」という声をよく聞きます。
しかし、それ以上に不動産取引の現場でよく耳にする声は「とにかく売り物がない」という言葉です。
この言葉の裏付けとなるデータを下記に紹介します。
このデータは、(財)東日本不動産流通機構が発表しているもので、我々不動産仲介業者の物件情報データベース「レインズ」における登録物件の市況データです。
※対象エリア…首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)
※数値は全て前年比
【中古マンション新規登録件数】 【中古マンション在庫件数】
9月:−27.1% 9月:−21.1%
10月:−26.2% 10月:−23.6%
11月:−25.0% 11月:−24.9%
このデータからも一目瞭然のように、新たに市場に供給される中古マンションの件数、および中古マンションの在庫数が昨年と比較し25%前後も減っているのです。
不動産の価格決定要素は非常に複雑多岐にわたりますが、一般の商品と同じように「需要と供給」により、その価格は大きく左右されます。
昨年から比較し中古マンションの供給数が4分の1も減っているのですから、統計上の価格が上昇するのは必然と言えるでしょう。
新築マンションの供給状況も影響
中古マンションの価格は、同じエリアで供給される新築マンション価格に非常に大きな影響を受けます。
新築マンションの供給状況となると、現時点でも回復の目処が立たないという状況です。
2007年前後で見られた不動産ミニバブルによってマンション用地の仕入価格が急騰し、当時は「新価格・新々価格」などと呼ばれましたが、あまりの急騰にマンションデベロッパーもついて行けず、次第に用地が仕入れられなくなりました。
また、その後発生したサブプライムローン問題、リーマンショック以降の金融危機により、分譲主自体の経営危機、その他金融機関の融資姿勢の変化等もあり、新築マンションの新規供給状況は壊滅的な状況となっています。
中古マンションの供給数自体も激減し、比較対象となる新築マンションも物件自体が無い、そのような「圧倒的な供給不足の状態」が、今の中古マンション市況には見られます。
今後の中古マンション価格はどのように推移するのか?
現在の「圧倒的な供給不足」という状況は、今後数ヶ月スパンでみて改善されることは、まず考えづらいでしょう。
よって、ここ数ヶ月間に見られた中古マンション価格上昇は、今後しばらく(少なくとも3ヶ月程度)は継続するものと考えます。
しかし、今後1〜2年のスパンでみると「中古マンション価格は再び下落基調に転じる」と私は考えます。
その最大の要素は、やはり「新築マンション価格」です。
首都圏の中古マンション価格は2006年から2008年に掛けて急激に上昇しました。
それは、先に触れたように新築マンションの価格が急上昇したことによります。
新築マンションは土地の仕入から建物の建築、販売等に2年程度の期間が掛かり、価格相場にはある程度の硬直性があります。(当然、個別案件での値引はあります。)
その点、中古マンションの多くは、一般個人の方が売主となり、流通のサイクルも1〜2月程度が一般的です。
流通サイクルが短いため、市場の動向を反映しやすいという点があり、リーマンショック以降に急騰していた価格相場がある程度まで下がってきたために割安感が生まれ、今回の中古マンション価格上昇という状況が生まれました。
しかし、首都圏の中古マンションの価格はまだまだ高止まりしていると私は感じています。
新築マンションの供給数が急激な市況変化により激減したため、一般ユーザーが今現在感じている中古マンションの割安感は高かった相場のイメージを基に形成されているものと考えます。
新築マンション市況がある程度回復し、ミニバブル以降に土地を仕入れた物件が今後市場に供給されるようになれば、新築マンション価格はデフレ時代を象徴するような「新たな価格帯」を形成するのではないかと考えます。
実際にミニバブル以降では、ある程度まとまったマンション用地を購入できるデベロッパーの数が激減したため、マンション用地の仕入れ価格は大幅に下落しています。
よって、今回の「中古マンション価格の上昇」は、新築マンション市況の崩壊および中古マンション供給数の減少による一時的な状況であり、「新たな価格帯の新築マンション」の供給が行われ始める今後は、再び下落基調に転じ、しばらく調整局面が続くものと私は考えます。
株式会社リード 中石 輝
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このコラムの執筆専門家
- 中石 輝
- (神奈川県 / 不動産業)
- 株式会社リード 代表取締役
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