ユニゾン・キャピタルのアデランスTOB - 専門家に聞く コラム [All About プロファイル]
最終更新日:2010/03/22

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専門家に聞く コラム

  1. 金融商品取引法事件簿
  2. 開示規制違反

ユニゾン・キャピタルのアデランスTOB

  • 川崎 善徳
  • 専門分野:法務
  • 2009/04/17 07:00
  • コンテンツ評価:80pt

ユニゾン・キャピタル

ユニゾン・キャピタルが、アデランスの式を公開買付けする予定があると16日の日経新聞1面で報道されました。記事を読む限り、「友好的買収」のようです。小説「ハゲタカ」のモデルになっていると思われるユニゾン・キャピタルの買収ですが、「敵対的買収」と考えられているスティール・パートナーズとの一騎打ちになる様相です。

公開買付け(TOB)

公開買付けは、上場会社の式を市場外で買付ける制度です。11人以上の主から実質的に総議決権の5%を超える式を買付ける際には、金融商品取引法の「公開買付制度」に従わなければなりません。また、10人以下の主からでも、実質的に総議決権の3分の1を超える式を買付ける際にも、買付者は「公開買付制度」に従う義務があります。公開買付制度とは、名前の通り、式の買付けを公開して行う制度です。買付数量や買付価格などを公開して、広く応募者を集める制度といった方がイメージしやすいかもしれません。

公開買付価格は、通常、取引所の価格よりも高い値段になります。公開買付価格と取引所の価格の差を「プレミアム」と呼びますが、ユニゾンの買付価格は約3割と報道されています。主は、取引所で売却するよりも3割も高い価格で売却できるわけです。公開買付けが義務付けられる理由の一つは、主にプレミアムを得る機会を平等に与えるためです。*1もう一つの理由として、大主の変更を認める機会を主に与えることがあります。公開買付者が大主になるのをイヤだと考える主は、公開買付けに応募しなければ良いわけです。

公開買付制度の改正

では、公開買付者が、市場外で32%(3分の1以下)の式を買付けて、市場で2%買い増しするとどうなるでしょうか。合計で34%(3分の1超)ですが、市場外で買付けた結果3分の1を超えたわけではありませんので、公開買付制度に従う必要がないことになります。実際に、これに似た事件が起きたことがあります。また、5割超の式を買付けるために公開買付者が公開買付けをしている最中に、既に3分の1超の式を所有する主が市場内で5割まで買付けたらどうなるでしょうか。公開買付者の公開買付けが成功するかどうかは、後から市場内で買付けを始めた者次第というおかしな状況になります。証券取引法時代のこの反省から、金融商品取引法は、市場内外合わせて短期間で3分の1超の式を買う場合、また、公開買付けの最中に、既に3分の1超の式を所有する者が式を買付ける場合には、同様に公開買付制度に従わなければならないというルールを追加しました。

スティールの対抗策

スティールの式保有割合は約27%で3分の1以下。従って、式保有割合が3分の1超まで買付けをしても、公開買付けをすることは必要ありません。金融商品取引法には、市場内外で3分の1超の式を買付けても、市場外の買付割合が5%以下のときには公開買付けに従う必要はないという規定もあります。従って、スティールが3分の1超を買付けることが可能です。むしろ、買付けた方がスティールは平均取得価格を下げることができるので買付けるインセンティブがあります。

一方のユニゾンは、3分の1超買付けるのは楽ではありません。スティールが27%、創業者が10%保有しているため、残り約50%から3分の1超を買付けなければならないからです。50%の3分の1ですから3分の2を買付けることになります。この点からも、スティールの買い増しに分があります。

プロキシーファイト

主になったことがある方はわかると思いますが、主になると主総会の議決権行使書が届きます。主は、主総会に提出された議案に賛成・反対するための権利(議決権)を与えられ、会社経営に参加します。議決権は、主が行使するのが原則ですが、他者に委任することもできます。このため、会社の提案を否決したい者や、逆に会社に提出した提案を可決させたい主は、主から委任状を集めて、権利行使する方法が採用されることがあります。これが、プロキシーファイト(日経新聞ではプロクシーファイト)と呼ばれる「委任状争奪戦」です。ユニゾンとスティールは対立する構造になりますので、プロキシーファイトが起こり、経営権を争うだろうというのが日経新聞の報道の内容ですが、果たしてそうなるかどうかは、「スティールの対抗策」でお話した理由から不透明です。
*1 金融商品取引法は、会社法と違って、主の平等的な取扱いを想定しない法律であることは以前お話した通りです。この意味で公開買付制度は、金融商品取引法の中では異質です。

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